縦走

下ノ廊下Complete

libero

メンバー:CL:Prin、Yoidoreyamaoyaji  2023年11月2日(木)~4日(土)

決行前にパーティーはバラバラ

 5名で下ノ廊下を歩くはずだった。当初予定は10月20~22日。このうち2名は、この日のために半年をかけて独自に訓練山行を数回実施。阿曽原温泉小屋の予約ができずに寝袋を新たに購入したり、歩荷訓練をしたりと準備万端、心待ちにしていた。一方、昨シーズンは開通が遅れに遅れたために、黒部ダムから歩き通せなかったY、Pにとっても、リベンジ的山行で楽しみにしていた。ところが下ノ廊下を通過する、ど真ん中の3日の天気予報が最悪で、直前まで迷ったあげく中止を決断。結局、3名は後の2日間を使って雨飾山に変更。やはり予報は当たり、雨飾山のオートキャンプ場に泊まった初日は降雪に見舞われた。が、それはそれで紅葉と雪、青空のコントラストの素晴らしい、またとない景色を堪能することができたのだった。

 ■急きょ2人で決行

例年であれば阿曽原温泉小屋は10月末頃には閉じて、解体してしまうのだが、温暖化のおかげなのか今シーズンは営業を延長することが分かった。テント泊なら4日までOKという。予報はピーカンが続く。他のメンバーには申し訳ないが急きょ、計画を復活することにした。従前に立てた計画があるので、日程を変えるだけで手っ取り早い。手間と言えば、一度はキャンセルした車の宇奈月温泉への配送依頼をウエブで再予約したぐらいだ。

当日は業者の事務所を訪ねて車のキーを渡して代金を支払い、簡単な手続きと注意事項を確認するだけだった。今年は剱岳の八峰挑戦で8月に来たばかりの扇沢駅。勝手知ったるトロリーバスに乗り込み、黒四ダムへ。紅葉シーズンから外れたのか、混雑はそれほどでもない。ダムに到着後、翌日のために下ノ廊下へ下るための通路などを駅員さんに教わり、ダムを横目に徒歩でロッジくろよんのテン場に向かった。かつて読売新道を縦走後、平ノ小屋から歩いた思い出のある道だ。すでに数パーティーが幕営していたが、十分なスペースがあった。手続きがてらお酒を買いにロッジを訪ねたが、ドアは開かない。何と営業を終えていたのだった。しょうがない、温泉小屋で飲むために持参した缶チューハイやワインに早々手をつけることになった。

聳えるダムを仰ぎ見て

翌朝、真っ暗な中、撤収。黒四ダムには何度も訪れているが、初めて誰一人いない静寂のトンネルを抜けた。下山口への通路をくぐり、急な下り坂をダムの底へと向かった。底部から仰ぎ見るダムは初めてだったが、暗いので良く分からない。ダム直下の黒部の源流はさほどの勢いはなく、緊張することなく一本橋で対岸へと渡った。

紅葉に彩られた黒部峡谷の絶景

明るくなるにつれ紅葉の鮮やかさが増し、荒削りの岩肌がむき出しの黒部峡谷を彩る紅葉の木々とのコントラストは、ため息がでるほどの美しさ。この時季でしか出会えない絶景だ。歩く道といえば、ほとんどが崖をくり抜き、すれ違うのもやっとの狭さで、絶景に見とれてばかりはいられない。長丁場なので一番の敵は集中力の途切れによる、つまずきだ。適度の休憩をとることも忘れないようにした。

プロのお出向かいに安堵感

ほぼ7時間で、昨年ピストンした十字峡に到着。ここからは去年往復しているので、気分的には楽だ。とは言え、阿曽原温泉小屋はなかなか見えてこない。小屋への急な下り坂にさしかかる頃、ようやくテント場が見えた。小屋に着くと「お疲れ様!」と明るい声で女性従業員らが出迎えてくれた。受付を済ますまでの何気ない応対だが、不思議と安堵感に満たされる。去年応対してくれた温泉小屋のアルバイトの若い男性とは違っていた。聞けば営業を終えた北アルプスの小屋から応援に来ている女性たちとのことで、「これが山慣れたプロのおもてなしというものなのか」と、改めて感心してしまった。

ぎゅうぎゅう詰めのテン場で交流

時間を追うごとにテント場は、ぎゅうぎゅう詰めになった。しまいにはテント同士が接するほどで、通路もないほどの混雑になった。おかげで、お隣さんと食べ物や飲み物を交換したりして、一期一会の交流ができた。その間にも、足を骨折した人が背負われてきたり、酔っ払って温泉で足を滑らしてケガをする人などがいて、小屋の人たちの苦労が偲ばれた。

 ■紅葉の競演は続く

翌朝も真っ暗の中、撤収。出だしの急登を終えるころには明るくなり始め、再び紅葉の山旅の幕が明けた。黒部側の下ノ廊下と欅平側の水平歩道の紅葉を比べると、色づき具合や峡谷を彩る紅葉の広がりなどで、個人的には水平歩道側に軍配をあげたい。予定より早く欅平駅に到着し、ソフトクリームをくわえながら出発間際のトロッコ電車に飛び乗った。2年越しで下ノ廊下は完結した。

【下ノ廊下コースタイム】

11月2日(木)黒部ダム14:40~15:30ロッジくろよん・テン場
11月3日(金)ロッジくろよん4:00~黒四ダム底部5:25~大へつり8:35~十字峡10:55~15:20阿曽原温泉小屋
11月4日(土)阿曽原温泉小屋4:50~10:18欅平駅

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リベロ山の会
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2024年2月発足ほやほやの山岳会です。年齢、性別は問わず、みんなが自由にクライミング、登山を楽しむ会を目指します。日本勤労者山岳連盟・東京都勤労者山岳連盟に加盟。年会費3000円(暫定)。救助費用の他、登山中(含むクライミング)のケガによる入通院費の給付もある労山基金がお勧めです。
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